【第2回】「この会社でしか生きられない」という恐怖。僕が感じたキャリアの危機感
前回の記事では、新卒で入社した会社で「年収550万円」「データ分析・機械学習モデル開発」という、一見すれば恵まれていて非常にトレンド感のあるポジションからエンジニア生活をスタートしたお話をしました。
同期からも羨ましがられ、私自身も「この環境なら市場価値の高いエンジニアになれる」と疑っていませんでした。
しかし、配属されて一歩深く現場に入り込むと、そこに潜んでいたインフラ環境は、トレンドとは180度かけ離れた「完全なレガシー」だったのです。
20代後半で感じた、外の世界とのギャップ
私がアサインされたデータ分析チームで待っていたのは、次のような泥臭く、そして思考停止を強いられるインフラ環境でした。
直面した「完全オンプレミス」の実態
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完全オンプレミスの古い物理サーバー
容量追加やサーバー増強をするためには何枚もの「稟議書」を回さねばならず、ただデータを1テラ追加するだけでも数ヶ月待ちという足の遅さでした。
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属人化され、誰も全貌を把握していない秘伝のタレのスクリプト
歴代の先輩方が場当たり的に継ぎ足してきたシェルスクリプト。コメントもなく、エラーが起きたらどこに影響するかが誰にもわからない、文字通りのスパゲッティコードがデータ集計の心臓部でした。
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3
毎日エラーを吐き散らすバッチ処理の「監視と延命措置」
深夜にエラーアラートが鳴り響き、朝出社しては「とりあえず再起動してやり過ごす」という泥臭いバッチの延命措置が日常。新しい技術の導入はおろか、現状維持だけで1日が終わっていく日々でした。
「これは何かおかしい」と思い始めた私は、20代後半になった頃、ふと外の世界に目を向けました。
そこで目にした世の中の求人情報やテックブログ、勉強会のトレンドは、オンプレミスではなく、完全にクラウドへと移行していたのです。
物理サーバーの維持、秘伝のシェルスクリプト、手作業の監視、社内独自の古い社内稟議。
AWS/GCPを用いたインフラ設計、SnowflakeやBigQuery、dbtによるモダンデータパイプライン。
世間の求める「データエンジニア」の定義は、完全にアップデートされていました。
彼らが求めるのは、稟議書の書き方や古い物理マシンのリブート技術ではなく、クラウド上でスケーラブルなデータ流通基盤を構築・自動運用できるスキルでした。
「外に出た瞬間に自分の市場価値はゼロになる」
その事実に気づいた瞬間、背筋に冷たいものが走ったのを今でも覚えています。
「この会社にあと5年いたら、会社の外に出た瞬間に自分の市場価値は完全にゼロになる。」
社内独自の稟議を通すのが上手くなり、誰も読めない秘伝のタレシェルスクリプトを「なんとなく扱える」だけの存在。それは、その一社の中でしか生きられない「人質」になるようなものです。
社内ルールに詳しくなっていく自分自身への慢心と、外の世界の圧倒的な技術トレンドのスピードから置いていかれる強烈な恐怖。
手元にある「年収550万円」という安定したぬるま湯。これを失ってでも、外で闘える本当の『稼ぐ力』を身につけなければ、30代、40代になったときに詰む。
この強烈なキャリアの危機感こそが、私に「あえて年収を一時的に下げてでも、環境をモダン化する」という、極端とも思える転職の決断をさせるに至りました。
次回、私がキャリアをV字回復させるための最初の跳躍台として選んだ、「年収を下げてでもスキルを取りに行ったダウン転職」の生々しいリアルをお話しします。